もうすぐ親友I君の命日が来ます。その死に驚き悲しんだのはついこの間のような気がするのですが、早いものでもうすぐ一年がたとうとしています。
人は二度死ぬと言います。ひとつは本来の意味での肉体的な死。そしてもうひとつは、自分の存在を覚えている人たちの死によって、自分という人間の記憶が消滅すること。このとき、二度目の死が訪れると言うのです。
近頃、人の魂はあるいは微細な素粒子のようなものになって、ずっと宇宙を漂っているのかもしれないと思うようになりました。彼が好きだった音楽が流れてきたとき、風に吹かれてふと空を見上げたとき、田町界隈のお店で赤ワインを飲むときさえ「これはIちゃんの好きなタイプだなあ」と、身近に彼の“存在”を感じてしまいます。
少なくとも、二度目の死を迎えるまでは一緒にいられるように、なるべくボケないで彼の分も長生きしなくちゃと思う今日この頃です。